議員研修 JIAM令和2年度第3回市町村議会議員特別セミナー

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日時:令和3年1月25日・26日

場所:オンライン研修

概要:                                令和3年1月25日、26日にJIAMのオンラインセミナーに参加した。本セミナーでは社会保障、共生社会、健康福祉のまちづくり、障害者福祉について専門家による講義を受けた。

【講義1】
「社会保障再考−〈地域〉で支える−ポストコロナを見据えて」
早稲田大学法学学術院 教授 菊池 馨実 氏

持続可能性の観点から社会保障を4つの基盤、①財政的基盤②人口的基盤➂社会的基盤④市民的基盤に分類し分析。現代では少子高齢化が進む中、これまで社会保障的な役割を担ってきた家族・企業・地域の脆弱化が進み、社会保障費が膨らんでおり、また、社会保障を支える理念の欠如、社会保障に対する「信頼感」「公平感」の欠如があるとしていた。そして社会保障の在り方については伝統的なセーフティネットとしての社会保障から個人の主体性を尊重した自立支援の社会保障となることが求められ、これを実現するためには相談支援や伴走型の支援、支えられる側から支える側になれるような環境づくりが必要であると論じていた。コロナ禍ではセーフティネットとしての社会保障が機能したがポストコロナではSOCIALDISTANCING社会的距離戦略、人と人の間合いの取り方を改めて考える必要があることの重要性を学んだ。

【講義2】
「共生社会を創る」
津田塾大学総合政策学部 客員教授 村木 厚子 氏

ある刑事事件に遭遇した経験を踏まえての共生社会についての講義であった。様々なデータを示したうえで、令和の時代の社会にもとめられるのは前向きな改革であり、より創造的で付加価値の高い分野に資本と労働をシフトし生産性を向上させることや社会保障を支える働き手を増やすことが必要であり、また給付と負担の見直し等により社会保障の持続可能性の確保することにも引き続き取り組む必要があるとしていた。今後の共生社会については本人を中心とした伴走体制に加えて、つながり続けることを目指すアプローチを重要視し、さらには専門家の伴走支援のみならず地域住民が気にかけあうような関係性を構築することが必要としていた。そして地域共生社会に必要なものは「安心できる場所」「味方」「誇り」「居場所と出番」であるとし、他地域の実践事例からも地域の資源を最大限に生かすことで素晴らしい仕組みが生まれることを知ることができた。

【講義3】
「データを活用した健康・福祉のまちづくり」
千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門 教授 近藤 克則 氏

テーマの通り、多くの研究データ等から裏付けしながらの講義であった。社会参加と認知症・うつ・要支援介護認定率等には相関があるとし、データを活用しながら行った施策、事業の紹介があった。医療レセプト、健診データ、介護レセプトなどのデータを一括把握・解析し、保険事業と介護予防の事業等を自治体が一体的に実施することで事業の効果を検証することができ、より効果的な施策展開に期待できることが分かった。健康・福祉のまちづくりは今後も重要となるが行った事業の評価が難しいことから、データによって効果が可視化できるということはかなり有効な手法であると感じた。

【講義4】
「地域共生社会における障害者福祉の現状と課題」
植草学園大学 副学長 教授 野澤 和弘 氏

ジャーナリストとしての経験や自身に重度障害の子どもがいることからの障がい者福祉の話であった。障がい者福祉の現状について説明があり、特に福祉人材不足の深刻さと財源や制度の拡充だけでは満たされない人が多いことに大きな問題があるとのことだった。またこれからの課題としては本人中心の福祉の実現があげられるが、障がい者福祉の分野では障がい者が支援を受ける側のみではなく本人の意思や興味により仕事をすることも増えている現状が分かった。