議員研修 JIAM令和3年度第1回市町村議会議員特別セミナー

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日時:令和3年4月15日・16日

場所:滋賀県大津市 全国市町村国際文化研修所

令和3年4月15日、16日にJIAMのセミナーに参加した。本セミナーでは人口減少・ポストコロナ社会、コロナ禍をチャンスに変える自治体の在り方、スマート農業による地域農業の創生、民間に地域起こしの活動について専門家による講義を受けた。

【講義1】
「人口減少・ポストコロナ社会のデザイン」
京都大学こころの未来研究デンター 教授 広井 良典 氏

概要:                                               人口減少・ポストコロナの社会に向けて、AIを活用した持続可能な日本に向けた政策、分散型社会のコミュニティとまちづくり、ローカライゼーション(Localization)と伝統文化の重要性、若者支援と人生前半の社会保障の重要性に関してのテーマでの講演であった。これからのグローバル化の先にある世界で目指すべき社会モデルは、「個人の生活保障の分配の公正が実現されつつ、それが環境・資源制約とも調和しながら長期に渡って存続できるような社会」であるとしていた。

日本は人口減少・高齢化社会のフロントランナーとして、相対的に費用対効果の高い形での長寿を実現しており、各地域の伝統文化の保存もされている。元来、分散的で地域の多様性が豊かな社会であることから、ローカルから出発しつつ、環境・福祉・経済が調和した持続可能な福祉社会のモデルを先導的に実現・発信していくポジションにあるのではないかとの講演内容であった。

【講義2】
「コロナ禍のピンチをチャンスに変える自治体になるためには?」
奈良県生駒市 市長 小柴 雅史 氏

概要:                                               生駒市は、奈良県の北側に位置し、大阪まで電車で20分というベッドタウンの色合いを持った市(約12万人)で、小中学生の学力が全国トップレベルとのことであった。今回のコロナ禍をチャンスに変えるための様々な施策や取組を行政として行っている。特に、ICT化や自治体3.0(独自に提唱)のまちづくりに向けた、プロフェショナルな人材の確保に力を入れており、全国から広く人材を募集しているとのことであった。

また、議員に向けては、地域に飛び出す現場力、具体的提案をする専門性、まちづくりに向けた地域愛、行政の施策や議会活動を発信する発信力を磨くことを要望した講義内容であった。耳の痛い話でもあったが、議員として望まれることを明確に指摘してもらったことは、今後の議員活動の参考になった。

【講義3】
「これからのスマート農業~新しい地域農業の創生」
北海道大学大学院農学研究員 教授 野口 伸 氏

概要:                                               農業におけるSociety5.0としてのスマート農業、農業の自動化に向けたロボットの活用、農業の今後の展開に関しての講義内容であった。

初めに、スマート農業の重要性、Society5.0の内容、農業データ連携基盤(WARGI)の内容及び活用等の説明があり、次に、農業の自動化を進める上での現在、実際に活用されている様々なロボットの実証例を紹介があった。

就業者人口の減少と高齢化が進む日本農業においては、スマート農業技術の導入は不可欠であること、内閣府SIP「次世代農林水産業創造技術」では、水田農業のスマート農業技術の開発を行っており、その核となる農業データ連携基盤(WARGI)を構築したこと、ロボット農機の小型化と低コスト化の課題はあるものの近い将来実現すること、SIP第二期により生産のスマート化から流通・消費のスマート化へと今後拡充・発展していくこと、中山間・野菜・果樹等のスマート化はこれからであること等が説明されていたが、スマート農業は技術と基盤整備(農地&電波)は、その両輪であり、その地域に適合したスマート農業は、その地域で創る必要があること等の講義内容であった。

【講義4】
「令和の戦国武将・今、女将が地域と共に立ち上がる」
さぎの湯温泉旅館 竹葉 女将 小幡 美香 氏

概要:                                               島根県安来市のさぎの湯温泉「竹葉」の女将で、「どじょうすくい女将」としてしまね観光PR大使として地域の盛り上げに活躍している女将の講演であった。

現在のコロナ禍で、本業の旅館経営が厳しい中、通販・テイクアウト・仕出しに活路を見出して、市田柿の各種製品開発により売上を伸ばしている。また、メディアへの露出をどじょうすくい女将として積極的に活用して、地域の盛り上げに貢献すると共に、様々なSNS(フォロワー数のべ16,000人)を全方向で利活用して地域の情報発信を行っている。プレイヤー兼地域プロデューサーとして、地域の生き残りに向けて観光業からのイノベーションを目指して地域(島根県)の個性的魅力を察発見することで、心も経済も豊かな島根県にするように活動しているとのことであった。

また、議員に向けては、未知なる道を創ること、最小労力で最大効果となる様に有限の時間での無限の縁を大事にすること、「守・破・離・創」の心構えを持ってもらいたいこと等の講演内容であった。