林活議連研修会 「県産材の利用と地域づくり」                           森林ライター:赤堀楠雄氏

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日時:令和4年4月28日(木)PM13:00~16:00

場所: 岡谷市役所第1委員会室

林活議連研修会として、森林ライター(森林・林業・木材専門)の赤堀楠雄氏(1963年東京生まれ。上田在住) による講演会

林活議連研修会「県産材の利用と地域づくり」の講演
産業建設委員会から赤堀氏への質問

概要:

長野県産材の利用と地域づくりについて、ロシア産木材の不足や「都市木造」ムーブメントによるカラマツ需要の急増について及びその他民間企業や行政との連携事例について等の講演

内容:

ロシアが国内の工場化促進による高額丸太課税(2008年)により、国産材へのシフトが加速され、長野県産カラマツへの引き合いが活発化。また、遡ること2000年の建築基準改正(性能規定化)で木造の規制が大幅緩和され「都市木造」ムーブメントが起こり、カラマツの強度の強さ(国産針葉樹ではアカマツに次ぐ強度)に高い注目が集まる。(木材の二酸化炭素固定にも注目)

長野県は有数のカラマツ産地であるが、製材加工がネックになっており県外製材業に買い負けているのが現実であり、また、「都市木造」の建設場所は県外都心部であることから県外流出が著しい状況である。

更に今年に入りウクライナショックでロシア産板が輸入停止となり、強度の高いラーチ(ロシアカラマツ)の代替に国産カラマツに注文が殺到している。

☆長野県内でも信州カラマツをメジャーにしようと様々な取り組みがなされている。

・公共建築にカラマツを利用

・おうち時間に応じたDIY市場の拡大

・県産材で店舗内装を手作りワークショップ

・「きょうぎ」など伝統文化に信州の多様な林材資源を活かす

・県内の製材業を盛り上げる等

☆地域の暮らしや山を見直す(県内外事例)

・エネルギー自給型ヴィレッジが林間に出現(宮城・鳴子温泉)

・林福連携(熱エネルギー利用も)(筑北村)

・「木の駅」の収入(地域通貨)で公共料金支払いも可能(高山市)

・羊の共同飼育林地集約化(滋賀県東近江市)

その他、今後の課題として、山間地域の暮らしの見直し、山を持つ負担をメリットに変える、地域活動の促進があること、また質疑応答で、最大の課題として「災害」を挙げ、産業を支えるのは「人材」と締めくくりました。

感想:

カラマツの需要が急増していること、価値も上がりヒノキにも劣らない価格帯になっている現状などを分かりやすく説明していただき、正に「この状況をどうするか」が目の前の課題であると捉えています。林野率66.7%を占める本市としても、行政との連携、異業種との連携、製材業の活性化、人材発掘・育成を踏まえ統括された山林整備、林業の産業化への推進に取り組めればと考えます。